Timeless

終わらない旅を僕らは

死の淵の雨

「怖くて、苦しくて、綺麗」

これがまず私がMVを観たときの感想。すごく怖くて泣きかけた。

本当は観る気がなかったMVだったので、歌はまだ聴いていないというか聴けていません。これはアルバムまで待とうと思う。

今回は「雨」のMV考察というか感想というかを書いていこうと思います。曲についてのネタバレはありませんがMVの内容に関してのブログなのでネタバレを踏みたくない方はブラウザバックをお願いします。

 

 

冒頭の剛くん。1番怖かったのはここのシーンかもしれない。0:07辺りから急に何かに怯え始める。この剛くんの恐怖がどこから来たのかもわからないような、そんな世界。必死に自分の恐怖……自分の恐怖?これは森田剛の恐怖ではないのかもしれないけれど、この空間に存在する恐怖から必死に逃れようとしている。口を手で押さえるのではなく、口に手を突っ込んでまで抑えなければいけないほどの恐怖が存在していて、それを彼は非常に分かりやすく、そして観ているこちら側にも伝えてくる。

そして0:25で今度は一気に明るくなる。健くん。いつもニコニコしている「V6の三宅健」という存在からはまるでかけ離れたようなそんな、ただの「人」の表情をしている。そして0:30で急にこの場面が切り替わる。右こめかみに急に当てられる拳銃の形をした、手。これは誰の手???もしかしたらこれは三宅健の手なのかもしれない。自分で自分を撃っている……というより、自分の手を操る「なにか」に撃たれるような、そんなシーン。そしてその手が放たれた瞬間、場面が一転する。

今度は岡田くん。撃たれている。しかし演技上手くね???天才じゃん。そしてすぐに入れ替わる。

長野さん。引きで分からないけどあの髪は長野さん(髪型で判断するな)ですね。縛られている。縛られて、でも私には助けを求めているようには見えない。この状況に甘んじているのではないかなと思う。別にいいけど、みたいな。

そして場面が変わって井ノ原さん。1:00のシーンでめちゃくちゃ「無」な瞳をしている。明るくおちゃらけた茶の間の「イノッチ」とは程遠い、そんな表情。目を閉じて車外からのシーンに切り替わるけれど、背景も相まってこれから練炭で死のうとしてる人に見えなくもない。

そして今まで屋外だった場面より、屋内に切り替わる。坂本さん。純粋にその体勢出来るのすげーとなってしまったけれどそんなんじゃない。引きの映像だからこそわかる、坂本さんが溢れさせている涙のような水。ぼーっとしながら、ただひたすらに外を眺めているかのような、空気。

そして再び剛くんに場面が切り替わる。水の中を、まるで何かに掴まれているかのように進む。逃げている感じではないなという印象。寒そう。

そして長野さん。ここで最初の順番と変わったのは何かの意味があるんだろうか。縛られたまま、まるで何かに操られているかのような動きを見せている。これは多分、自我ではないなと思う。

そしてすぐに岡田くんのカット。撃たれているのに進み続ける。血糊。血糊!?へえ。ゾンビ一歩手前みたいな動きから踊りに繋がる。そして自らを刺すかのような、そんな仕草。はあ、しかし顔が良いな。

屋上にいる健くん。今まではどことなく「感情」が見えていたのにここにきてそれがおかしくなってしまった雰囲気と表情をしている。

そしてすぐ切り替わり。これ長野さんだよね???わっかんねー、ここまで全然長野さんの表情が見えない。狭い、狭い廊下の中を窮屈そうに回っている。回っている?「舞っている」という感じにも見える。

そして坂本さん。さっきと同じ、窓ガラスが張られた部屋の中。何かに縛られて、そこからどうにか抜け出そうとしている。そんな踊り。脚なっっっっっっっがいなあ!?

そして一瞬のカット。0.25倍速ですら誰なのか分かんなかったけどこれもしかして長野さんなのかな。このモノクロの世界に突如「色」が入る。怖い。でも、他の5人に比べて極端に表情が隠されている長野さんっていう線は個人的には濃厚だなあと思う。そしてその「色」が「赤」という表現。一般的に雨というと「青」「黒」「灰色」が出てくるんじゃないかと思うけれど、相反するともいえる、赤。これは何かありそうだな~と思います。

そしてクラクションで無理やり現実に戻される井ノ原さん。これ怖いな。うえ、2番目に怖いかもしれない。

そして、一気に状況が変わる。剛くんはまだ雨の中で、岡田くんはなんか落ちて、健くんは屋上、長野さんは廊下、井ノ原さんは車内、坂本さんは屋内。ここで感じたのは「光」がほんの少しだけど見えてきたなというもの。今までのカットは全然光が無くて、ただ暗い、というか雨に覆われた中だったけれど、この瞬間になって光が見える。

そして、健くんが泣き、剛くんが急に動く。この時の剛くんは焦っているかのような感じ。

場面転換。長野さんが踊ってる。こういうカメラワーク気持ち悪くなるからやめてね。長野さんだけ別枠なのかなこれ。

そして、6人になる。今までバラバラだったカットが、1つになる。平和に終わるな~!!!と思った次の瞬間にまた怖くなっている。ここのシーンで「まだこの物語は終わらない」って主張しているみたい。

暗転。

 

 

 

あ~、あ~、無理!!!!!!これ激重じゃん、うえ。

めちゃくちゃ考えたし、このMVの世界の話かな~と思ったし、実際にそんな感じで捉えている方のツイも見たけれど、私自身は現実の6人とリンクさせてしまった。ただこれ曲を聴いたらまた変わってくるだろうなあ!!!

 

以降、設定等々も含めた乱雑考察を書きます。ちなみに考察を書いている間に流す映像は雨ではない。後でリストつっくろ!!!

 

まず、このMVは「Jr.期からデビュー直後にかけての6人」なのではないかなと思います。剛くんのあの異様な焦り具合とどこか怯えて、それでも必死に強がり自分を保とうとする部分。健くんの、どこかアイドルという部分を欠落させたような表情と、操られるかのような動き。岡田くんの、撃たれてもなお進もうとする姿。そして、車内で呆然とする井ノ原さんと、縛られていたり、狭いところで動く長野さん、屋内からただ外を眺め、かと思えば何かを振り払うように踊る坂本さん。何となく、あの頃の6人なんじゃないかなと思ってしまった。

まず坂本さん。自らの状況をただぼんやりと眺め、次々に目立つ他の人たちを見てきたJr.期、そしてリーダーという役割から必死に逃れようとする、そんな様子。

次に長野さん。この縛られていたのは、やっぱりJr.期なんじゃないかなと。いろんなものに縛られて、窮屈で、でもいつしかそれには慣れてしまったそんな感じ。そしてそのあとも常に何かに制限されたような、そんな感じ。

井ノ原さん。坂長が事務所を一旦辞めた後も残り続けて、そしてそれが「車内」という描写なのではないだろうかと思います。車内でただ1人、ぼんやりと、死んだように、笑顔を振りまきながらアイドルであり続ける。そしてそんな自分を引き戻すかのような、あのクラクション。絶望で、あと少しで完全に堕ちてしまう井ノ原さんに警告を鳴らすクラクション。あそこだけ音出してみたけどまじでうるさかった。すみません次。

剛くん。周りからの重圧と大人に対する絶望と恐怖、そして坂本さんとの噛み合わなさ。それがあの剛くんの表情やしぐさに表れているんじゃないかなと思う。

健くん。彼が一番、このMVの中で不安定だったような気がした。アイドルという像を失ってただ呆然としたかと思えば、急にぎこちなく笑いながら踊り始め、そして泣く。まだ20歳にもなっていない、本来であれば無邪気に笑って友人と遊んでいるだろう年頃に背負わされた重圧。これに耐え切れずにいる様子もあるんじゃないかな。

最後に、岡田くん。いくら傷ついても、転んでも、絶対に止まらない。止まったら、また何かを言われることになるから。ボロボロになっても進もうとする岡田少年が見える。はあ。

そして6人が輪になって、踊る。ここで、V6というものが完全になる。

 

というのが、1:40から4:35までの世界の話。

 

じゃあその前後は?って話になるんですけど。

これは、Ifの世界の話なのではないかな。

私が思うのは「森田剛が、V6という世界を自分の中の永遠に閉じ込める」というもの。決して、殺してはいない。だって生きてるし動いてるし。

最初の剛くんのシーンは、すべてが終わった後だろうな。自分がやったことを初めて認めて、そしてそれに慄く。恐怖の対象が、自分自身の行いであることに。だから剛くんには「死」に結びつくようなイメージがあまりなかったのかも。ただ、剛くんにも「死」だなあと思うことがあるけどそれは1番最後に書きます。

健くんは、拳銃で撃たれる。拳銃で撃たれるというのは、まず何より先に「脳」がダメージを受けることになるだろう。何かを考えるための、人間の司令塔。これが奪われた健くんは、彼の武器の1つでもある「色々な人のことを考えながらアイドル三宅健として生きる」ということが出来なくなる。簡単に言ってしまえば、健くんはこの先、外部、ファンである私たちを含めた人間のことを考えながらアイドルとして生きることなどなくなるのだ。

岡田くん。恐らく刃で刺される。岡田准一という、いまやアクションスターでもある彼のアイデンティティを崩壊させるといっても過言ではないような傷になる。内臓がやられた状態じゃ、きっとアクションなんて出来ない。ポーカーフェイスを作って何かを演じることも出来ない。岡田准一という人間としてしか生きられなくなってしまう。

長野さん。縛られ、自由を失う。長野さんは自分の足でロケをしたり畑に行ったりおいしいものを食べ歩き、仕事に繋げる。自分の手で料理をし、仕事に繋げる。これを制限されることで、彼は自分の足で料理を求めることも、自分の手で料理を生み出すことも出来なくなってしまう。料理という武器が、なくなる。

井ノ原さん。閉じ込められ、だんだんと薄くなっていく空気の中で自由を失う。自分の言葉を武器にV6の活躍の場を確実に広げる井ノ原さん。自分を出せず、閉じ込められた空間の中で自ら発する言葉さえも失う。

坂本さん。水の中で溺れ、泳ぐことで踊ることが出来なくなる。自分の踊りに、ミュージカルに、タップに、欠かせない脚を、失う。彼が感じるのは、絶望以外の何物でもない。自分が必死に造り上げたものが瓦解し、薄れゆく意識の中必死に泳ぐ。脚をヒレのようにし、まるで人魚になったかのように。

剛くん以外の5人が建物の中にいる理由もわかる。

森田剛以外は、あの中に永遠に閉じ込められる運命にあるのだ。

実際には、死なない。しかし、彼ら自身は死んでいる。V6というのは、個々の活躍抜きにして語ることが出来ないグループ。それを失った彼らは、本当に、私たちが見ているV6になるのだろうか?彼ら6人をV6と定義づける資格を持つのは、彼ら6人だけだ。これを逆手に取った剛くんは、「自分だけがV6をV6とする」という手段に出たのではないだろうか。愛ゆえに。

トニセンは、感情を失った。

カミセンは、感情が暴走した。

それは、それぞれが剛くんに「壊された手段」の違いだろう。自分より年下のカミセンには直接的に、年上のトニセンには間接的に。だんだんと、確実に、森田剛はこの5人を、自分だけのV6という世界に閉じ込めたのだ。

そして、自らの行いを悟り、怯えた剛くんは、自らも何かを失うことで自我を保とうとする。それが、自分の口に手を突っ込み、「声」を失うことだ。

ラストのシーン。これは、森田剛に奪われる記憶と、それぞれの自我の戦いになるんだろう。

坂本さんは、声を上げることで溺れていないことを。

長野さんは、振りほどくことで縛られていないことを。

井ノ原さんは、様々な方向を向くことで閉じ込められていないことを。

健くんは、銃を振りほどくことで撃たれていないことを。

岡田くんは、傷口を解き放つことで刺されていないことを。

そして、剛くん自身は、自分の手を制することで自らは何もしていないことを。

 

 

まるで、死の淵だ。

V6として生きる彼らの、境界線。

一歩間違えたら、こうなってしまうかもしれない。

愛と狂気の狭間に流れる、